丸ベルトの自転現象のメカニズムを教えてください。 | |
先に、自転現象を確認されたのは、押出成形したウレタンの丸ベルトを指定長さで溶着したものだと思いますので、それにつきまして説明いたします。 先ず、自転現象は、ベルト速度などにもよりますが、運転後1時間足らずで自転を始めます。それも右ねじ方向に自転します。なぜ常に右ねじ方向なのかは解明できておりません(地球の自転との関係ではないかとの意見もあります)。以前は、自転の要因として、①丸ベルトの押出成型時に押し出される分子の方向性によって起こる、②丸ベルトを溶着時に捻って溶着したために起こる。③プーリのアライメントが正確に取れていないため。などと考えられていましたが、②~③のパラメータを変えての試験においても常に右ねじ方向に自転を始めることから、以下のメカニズムによるものではないかと考えられます。 通常、丸ベルト用プーリは、丸ベルトの半径よりも大きなRを推奨しています。それは、摩擦力を得るためにベルトを伸ばして適正なテンションを与えますが、プーリ上では変形しますので下記断面図のように、より大きなRが必要となるためです。 次に、接触面に掛かる力はテンションを付与された側(進行方向)ですから、底ではのように直角に接触しますが、両側(b、c点)に行くに従って、プーリとの接触面に対する直角方向の分力(、)と、丸ベルトの接線方向の分力(断面方向に回転させる力;、)が得られます。この時、左右のバランスが取られている間は自転は起こりませんが、一定時間を過ぎますとバランスが崩れ自転を始めます。そのバランスが崩れる要因としては、素材のポリウレタンの弛緩(応力緩和)が起こるタイミングとほぼ合致することから、その時に永久伸びが出はじめる瞬間にバランスを崩すのではないかと考えられます。一旦自転を始めた丸ベルトはその寿命を全うするまで自転し続けます。 搬寿命としての故障モードは、①全周に亘り摩耗し、細くなる。②自転することにより、円周方向にクラックが発生・進展し、破断する。③永久伸びが進行し、プーリから脱落し機能を果たさなくなる。などが見られます。 |
丸ベルトの自転現象のメカニズムを教えてください