掲載情報:2019/03/05発行 30号8面
ベルト伝動技術懇話会(大窪和也会長)の企画委員会(召田郁哉委員長)が主催する「第22回講習会」が2月22日午後1時から、京都市上京区の同志社大学今出川校地室町キャンパスの「寒梅館」で開催され、約50名が参加した。今回は、「ベルトの挙動を見てみよう~ゴムの摩擦摩耗とベルト設計に活かせる計測解析技術」と題し、ベルト関連技術の基礎理論から走行デモ機を用いた計測解析まで、講義が行われた。
はじめに、委員長の召田氏が「今日は座学と計測の実技を行います。質疑等で積極的にご参加いただき、今後の業務・研究に活かして頂きたい」と挨拶した。続いて大窪会長が「今年は当会の30周年に当たります。10月18日に大阪・北区の大阪工業大学梅田キャンパスの常翔ホールで記念講演会とパーティを企画しています。皆さんのご協力をお願いいたします」と述べた。
講習では、「ゴムの摩擦・摩耗と試験法」のテーマで和田法明氏(三和テクノ顧問、日本ゴム工業会ISO/TC45国内審議委員会シニアアドバイザー)が解説。三和テクノは、自動車関連部品、情報通信機器部品を主体としたシール機能製品の開発、製造、販売を行っている。今年8月には神戸工場が完成する予定だ。また昨年末には、経済産業省から「地域未来牽引企業」に選定されている。
和田氏は、「ゴム試験法第3版」をベースに摩耗のメカニズムを紹介。アブレシブ摩耗、凝着摩耗、疲労摩耗、ころ状摩耗等について解説。またISO/TC45国内審議委員会の役割等にも言及した。そして、「実製品の摩耗現象を再現できる試験機種と促進試験条件の決定が重要だ」と結んだ。
続いて、須貝宣彰氏(デュージャパン取締役)、才田光一氏(同代表取締役)が、「総合的な回転
機器計測手法の紹介について」と題し、第一部・座学、第二部・測定デモンストレーションを行った。
デュージャパンは、世界49カ国でデータロガー、FFTを販売するデューソフト(スロベニア)の製品を日本で販売している。主な取引先は自動車メーカー、自動車部品メーカー、建設機械メーカー、JAXA(宇宙航空研究開発機構)などと幅広い。
須貝氏は現在、主流になりつつある24bitA/Dを搭載したロガーの有効性を紹介した。この製品は、ねじり振動、オーダートラッキング、オービットグラフなど、色々な計測・解析を一度に行うことができる。
続いての実技では、5種類の歯付ベルトとチェーンの測定を行った。カメラによりリアルタイムでの計測を確認できる。測定結果では、ベルト材質、歯形、心線の違い等、その機能を存分に活かしたデモンストレーションに、参加者は熱心に見入っていた。材料メーカー、心線メーカー、ベルトメーカー、そしてベルトユーザーを含むユニークな団体である同会。実技後には、それぞれの立場から活発な質疑応答も行われ、充実した講習会となった。