ベルト伝動技術懇話会 15年度総会・講演会開く

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掲載情報:2015/06/15発行 2面


ベルト伝動技術懇話会(飯塚博会長)は、幅広い会員構成でユニークな活動を行っているが、弊紙5月25日号でも報告した2015年度の総会・講演会でヤマハ発動機、日本板硝子から興味深いテーマでの講演が行われたので、今号で紹介する。  ヤマハ発動機EGユニット技術部・CVTRVの保科太治氏は「変速ベルト使用車両の現状と今後の展望」のテーマで、講演を行った。  二輪車は変速ベルトの使用という点で、伝動ベルトの一つのマーケットを形成している。今後、アセアン、インドで大きな伸びが予想されている。またレクリエーショナル・ビークル、スノーモビル等にも変速ベルトが使用されている。150615-1
ヤマハは”レブズ・ユア・ハート”をキャッチフレーズに、開発を進めている。保科氏は、同社の新技術で、「走り」「燃費」「環境」をテーマに開発された「ブルー・コア・エンジン」や、新カテゴリーの創出として注目される「トリシティ125」等についても紹介した。同氏は「アセアンではスポーツマインドが醸成されてきており、今後レジャーユースも拡大してくるだろう。またインドネシアでガソリンの政府補助金が撤廃される等の背景から、やはり燃費は重要なファクターだ。ベルトにはこれまで以上に効率化が求められている」と、二輪車メーカーの立場からの見解を語った。
また、日本板硝子(NSG)高機能ガラス事業部門ファンクショナルプロダクツ事業部製造技術部技術グループの梶原啓介氏は、「ガラスコードの高機能化を目指して」のテーマで、講演を行った。  同社の「マイクログラス」製のグラスコードは、ガラスの特性である「伸びない」、「高耐熱性」を活かし、タイミングベルトの芯体として幅広く採用されている。クルマのOHC駆動用はもちろん、スライドドアにも、このタイミングベルト活躍している。
150615-2同氏は、ガラスコード芯体がCR、SBR、そしてH‐NBRに対応したCSMへと変遷してきた経緯を解説。さらに高強度ガラスコードのHTS、より高性能なH‐NBRタイミングベルト用のRIコードの開発についても言及した。「RIコードはNSG独自特許技術によって開発。従来のRF樹脂による架橋から新規接着剤システムを導入。これにより優れた耐熱・耐油性、長寿命化を図ることができ、自動車向け油中ベルト等で採用が拡大中だ」と語る。「ベルトのさらなる高機能化のために、ガラスコードとゴムとの接着性に係わる処理剤、そしてガラスの物性向上の両面から、長寿命化に繋がる屈曲性、細幅化に有効な高弾性、そして油中環境での使用に係わる耐環境・薬品性の機能を追求していく」と結んだ。