ベルト伝動技術懇話会 第21回講演会を開催

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掲載情報:2015/0925発行 2面


ベルト伝動技術懇話会の企画委員会は9月11日午後1時から、同志社大学烏丸キャンパスの志高館で、「第21回講演会」を開催し、70名を超える参加者で盛会となった。  今回は、「ベルトの設計の基礎~今こそ聞きたい伝動理論と材料知識」と題し、ベルト伝動設計の基礎から応用まで幅広いテーマで4つの講演が行われた。企画委員会委員長の片桐真也氏(日本板硝子)は、「本講演会を通して、今一度基本に立ち返ることで、今後の新たな創造のきっかけとなれば、これに優る喜びはない」と語った。  最初は、「伝動の基礎知識(歯付ベルト伝動の実用設計)」のテーマで、ゲイツ・ユニッタ・アジア技術2部技術課の井上龍起氏が講演。井上氏はベルト伝動技術懇話会編の書籍「ベルト伝動・精密搬送の実用設計」の記述を元に、歯付ベルトに特化して解説。取付張力の重要性について述べたほか、電動式射出成形機を始めとした歯付ベルト伝動のアプリケーションにも言及した。
150925-1続いて、同志社大学理工学部教授の大窪和也氏が「乾式複合Vベルト式CVTの変速時の伝動特性~プーリ軸とプーリボス間のはめ合いクリアランスの違いによる変速中のエネルギーロスの違い」について講演。この研究は、バンドー化学の協力を得て、「バンドーアバンス」を使い実験を行ったもので、その研究結果について説明を行った。

 

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芦森工業機能製品企画管理室の柴田健一氏は、「帆布の基礎的な知識と製造工程について」というテーマで解説した。ベルトやホースの補強材として使用されている帆布について、その根本となる各種繊維加工品の種類、構造、組織について詳細に述べた。帆布設計の工程では、「繊維の選択、織組織の選択、強度伸度計算、目付計算、厚さ計算、その他の要因を考慮する必要がある」と語った。また、帆布の製造工程について「糸準備の工程から最後の検査工程まで、稼働状況にもよるが、通常、全工程で3~4カ月が必要だ」とも述べた。
150925-4最後は元三ツ星ベルト・大倉清氏が「エンジン補機駆動ベルトの鳴きについて」の演題で講演した。大倉氏は、ベルト鳴き現象の計測から、現象のタイプ分け、周波数タイプを開設した後、鳴き発生のメカニズム解析について説明。そしてベルト鳴きの発生原因となるスティックスリップについての解説を行った。そして、まとめとしてベルト鳴き対策の基本について説明を行った。
ベルトの構成部材となる材料メーカーから、ベルトを使用するアセンブリメーカーまでを網羅する同会らしく、各講演ごとにそれぞれの立場から専門的な質問が相次ぎ、今回も活気にあふれた講演会となった。