ベルトの心線としてガラス繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維等が使用されているとのことですが、あえて高価なアラミド繊維が使用されている理由を教えて下さい。また、タイヤコードには一部レーヨンが用いられていますが、同じゴムの補強材にもかかわらずベルトの心線にレーヨンが用いられていない理由を教えて下さい。 | |
ベルトに様々な心線素材が使用されている理由として,ベルトの使用環境に応じて適切な繊維を選択していることが挙げられます. 例えば,アラミド繊維は耐水性に優れますが,熱や湿度による寸法変化があります.一方,ガラス繊維は,寸法安定性に優れますが,湿潤環境では引張強度の低下が大きくなります(ベルト伝動・精密搬送の実用設計 第三次改訂増補版 P.167 図3.41). このため,例えば高温で水のかかる可能性があるが,熱や湿度による寸法変化がある程度許容できる摩擦伝動のエンジン用補機駆動用ベルトの心線にはアラミド繊維が使用されています.一方,同期性が重要視される嚙み合い伝動のベルト(タイミングベルト)にはガラス繊維が一般的に用いられています. 過去(1960年代半ば)までは,ベルトの心線素材としてレーヨン(強力人絹)が用いられていましたが,ベルトに生じる伸びが大きく,ベルトの張り直しが必要になる1)などの問題がありましたので.また,レーヨンは強度,疲労性が低い2)ことから,ポリエステル繊維に置き換わったという経緯があります. |
ベルトの心線に使われる素材について教えてください