タイミングベルトを用いた装置にズレが発生します
以下の構成のベルト装置でズレが生じます。
タイミングプーリ:S8M、歯数:32歯(P.D. 81.49)、プーリ直径比:1:1
ベルト幅:30mm、歯数65(周長520mm)
モータ:サーボモータ、減速機:1/15
上記の構成で従動側を360°回転させた際に、最大0.4mm程度のズレ(0.2°程度)が発生します。ズレ方向は一方向になります。
0回転目(偶数回)をズレ量0とすると、1回転目(奇数回)でズレが発生。
2回転目(偶数回)でズレ量0、3回転目(奇数回)でズレが発生・・・
30~40回転程度で偶数回と奇数回のズレの関係が逆転し、
最終的に65回転目でズレ量が0となります。
ベルトの歯数で周期性があるように思えたため、ベルトの継ぎ目等のピッチを疑い、新品ベルトと交換しましたが現象は収まりません。
何か知見があればご教授願えますでしょうか。
 ご質問頂きました内容から類推いたしますと,ベルト歯数65歯に対してプーリ歯数32歯のレイアウトのため,プーリ65回転目にベルトの位置が丁度元に戻る組合せ(レイアウト)となっており,プーリの加工精度はキャンセルされる使い方のため,ベルトの製作精度に起因する現象と推測します.
また,ベルト材質の記載はありませんが,ベルトの特定位置(プーリの特定回転数)で変わった挙動は発生していないようなので,継ぎ目の無いゴムベルトを使用されていると推測します.
要求される精度を満足する対策になるかどうか確認は必要となりますが,下方に対応案を記載します.

① ベルトの製作ロット,製作先(メーカ)を変えてみる
先に述べました様に,ベルトに起因する現象と予測されますので,ベルトを交換することで,現象が変化すると想定されます.
既にベルトの交換を試されたとのことですが,同一製作ロットもしくは同一金型での製作であればズレの再現性も高いところと思いますので,別製作ロット,もしくはメーカを変えてみることで現象が変化する可能性があります.

② 現状のベルト幅を半分(2分割)に変更し,幅15mmの2本掛けとし,ベルトの組付け位置(プーリに対するベルト相対位置)をずらして.(まずはベルト2本間の位相差が180°程度になる位置を目安に)組み付けてみる
ベルトの製作精度に起因する現象と予測されますので.ベルト2本をずらして組み付けることによって,それぞれのベルトの精度に起因する現象が打ち消しあう可能性があります.
ただし,組付けや発注管理の手間増加,耐久性に対して微小レベルの低下影響の懸念はあります.新たに手配される場合は2本の長さの差が少ない“マッチドセット”の指定が望ましいと考えます.

③ ベルト歯数を65歯から64歯に変更し,組付け可能なレイアウトに設定する
プーリ2周でベルト位置が元に戻るため,プーリ偶数回転でズレ量はほぼ0となると予測されます.また,奇数回転数でもベルト位置が反転するだけのため,ズレ量は低減されると推測します.
ただし,軸間距離が変化するため,レイアウト変更が可能か,検討が必要です.

また,根本的な変更となりますが,ベルトとプーリにはバックラッシがあり,メーカによってはバックラッシレスタイプのプーリもあります.
バックラッシレスタイプのプーリを用いることで位置精度向上できる可能性もあります.

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